住宅 購入 税金|不動産購入時の税金は何がある?購入時と購入後の税金

不動産

住宅を購入する際には、購入費用以外にもいくつかの諸費用がかかることがあります。

中でも特に気になるのが、固定資産税をはじめとした様々な種類の「税金」です。

今回は、家を購入した際に発生するさまざまな税金とその仕組み、おおよその金額、そして節税方法について詳しく説明します。

住宅購入時の税金

家を購入する際にかかる税金は、主に2種類あります。

まず初めに挙げられるのは、家を購入する際に一度だけ支払う税金です。

具体的には、不動産の購入契約書に印紙税を支払ったり、登記手続きの際に登録免許税を支払ったり、不動産を取得した際に不動産取得税を納税することが挙げられます。

次に、家を購入してから毎年支払う必要がある税金があります。

代表的なものは、固定資産税と都市計画税です。

また、家の購入には消費税もかかりますが、これはローンに組み込まれて支払われます(ただし、土地には消費税はかかりません)。

不動産は高額な財産なので、税金の額もそれなりに高くなります。

しかし、居住用として購入する場合は、政策的にさまざまな軽減措置が適用されているため、税金が高くて不動産を手に入れられないということはありません。

以上が代表的な税金とその内容の概要です。

住宅を購入した時にだけ発生する税金とは?

まずは、住宅を購入した時だけに発生する税金について、説明していきます。

印紙税

「印紙税」とは、不動産の売買契約書や建物の建設に関する請負契約書、住宅ローン契約書などのさまざまな「契約書」(または領収書)にかかる税金のことです。

具体的には、20種類の契約書が課税対象となっており、それぞれの税額は国税庁が公表している「印紙税額一覧表」で確認することができます。

税額は契約書に記載された金額に基づいて定められます。

印紙税は、「印紙」というものを購入し、契約書などに貼り付けて消印を押すことによって納税されます。

基本的に、領収書の金額が5万円以下の場合は印紙税はかかりません。

これは、日常的な買い物などでの領収書に対しては印紙税を支払う必要がないためです。

しかし、領収書の額面が5万円を超えると、原則として印紙税が課税され、税額は200円から最大20万円の間で設定されます。

具体的な税額の例を挙げると、一般的な領収書の場合、5万円未満は非課税、100万円以下は200円、100万円から200万円は400円といった税額がかかります。

不動産の購入に関連する場合、不動産売買契約書が関係します。

不動産の売買契約書

この契約書も契約金額に応じた税率が定められており、2014年4月1日から2024年3月31日までの期間に作成された売買契約書には、軽減税率が適用されます。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産(土地や家屋など)を取得した際に課税される税金です。

この税金は、取得時に有償か無償か、登記があるかないかに関係なく課税されます。

不動産取得税の税率は全国一律ですが、課税の実施は各都道府県が行っています。

納税期限は各都道府県ごとに異なりますが、一般的に不動産を取得してから半年から1年半程度で「納税通知書」が届き、それに基づいて金融機関で納税手続きが行われます。

不動産取得税の大きな特徴は、居住用の不動産の取得にはさまざまな軽減措置が適用されていることです。

また、相続によって取得された不動産についても、居住用として使用するなどの一定の条件を満たす場合は非課税となります。

不動産取得税は、建物と土地でそれぞれ異なる計算式が用いられます。

建物における不動産取得税の計算式は、建物の固定資産税評価額から控除額を引き、その結果に税率の3%を乗じることで計算されます。

建物に対しては、住宅として取得した場合には通常の税率4%ではなく、3%の軽減税率が適用されます。

また、新築住宅の場合は、床面積が50㎡以上240㎡以下の場合、控除額は1200万円となります(長期優良住宅の認定を受けた場合は1300万円)。

一方、土地における不動産取得税の計算式は、土地の固定資産税評価額の半分に税率の3%を乗じることで計算されます。

土地についても、2024年3月31日までに取得した場合には、評価額を半分に減額する軽減措置が適用されます。

ただし、この控除額の計算はやや複雑で、土地1㎡当たりの固定資産税評価額の半分に、住宅の課税床面積の2倍(ただし最大200㎡)を乗じてさらに税率の3%を乗じた金額と、4万5千円のうち高い方が控除されます。

登録免許税

登録免許税とは、家や土地の登記手続きに関連する税金であり、広く知られていないかもしれません。

具体的には、家を新築したり土地を売買したりする際に、登記手続きにかかる際に支払う税金のことです。

この登記手続きには、所有権が設定されていない新築の家を購入する際に行う「所有権保存登記」と、所有権が設定されている家を購入したり相続したりする際に行う「所有権移転登記」の2つがあります。

登録免許税は、登記の種類ごとに異なる税率が設定されており、基本的に家を取得した際に納税する必要があります。

まず、最も一般的なのは「所有権移転登記」です。

これには、課税標準価格に対して1000分の20を乗じた金額を税金として支払います。

つまり、税率は2%となります。

ただし、2023年3月31日までは軽減税率が適用されており、土地に対しては1.5%、建物については0.3%の税率が適用されます。

なお、課税標準額は通常、固定資産税評価額を使用するため、実際の売買価格よりも低くなることがあります。

次に、「所有権保存登記」です。

これは、まだ所有権の登記がされていない建物を新築した場合に申請します。

実は、所有権移転登記と比較して税率が低く設定されていますので、新築住宅の場合は通常、この登記手続きを行います。

本則の税率は0.4%ですので、所有権移転登記の税率よりもかなり低いことが分かります。

ただし、こちらも軽減措置があるため、新築建物の所有権保存登記については0.15%の税率が適用されます。

住宅の購入後、毎年支払いが発生する税金とは?

住宅の購入後、毎年支払う必要がある税金があります。

それは固定資産税と都市計画税です。

これらの税金について詳しく説明します。

固定資産税

住民が所有する不動産に課される税金が、「固定資産税」と呼ばれます。

この税金は、毎年の1月1日時点で不動産を所有している人に対して毎年課税されます。

税額は、各市区町村(東京23区の場合は東京都)が設定している土地や建物の「固定資産税評価額」という基準に基づいて算出されます。

通常は、この評価額に一定の税率(標準税率1.4%)を掛けて計算されます。

ただし、固定資産税にはさまざまな軽減措置があります。

たとえば、2024年3月31日までに建てられた新築住宅の場合、建物に関して一般住宅は3年(認定長期優良住宅なら5年)、マンションは5年(認定長期優良住宅なら7年)の間、税額が半分になります。

ただし、この軽減を受けるには、マンションの場合は3階以上で耐火・準耐火の建築物である必要があります。

このように、固定資産税には減税の制度があります。

都市計画税

「都市計画税」とは、各都市が設けている「都市計画区域」の中で、「市街化区域」と呼ばれる地域にある土地や建物などの不動産を所有している人々に課される税金のことです。

都市計画区域には、大まかに「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」という3つの区域が存在しますが、都市計画税が課されるのは、毎年1月1日時点で「市街化区域」内に不動産を持っている場合です。

この税金は各市区町村によって課され、通常は固定資産税と一緒に申告や納税手続きを行います。

課税税率は、市区町村によって異なる場合もありますが、多くの自治体では課税税率の上限を0.3%と定めています。

また、都市計画税も固定資産税と同様に、軽減措置が設けられていますが、固定資産税との大きな違いは、「新築住宅の建物部分には軽減措置がない」という点です。

住宅の購入で税金の軽減措置は?

住宅を購入する際には、さまざまな税金が発生しますが、幸いなことに、多くの税金には軽減措置があります。

ここでは、具体的な軽減措置を見ていきましょう。

住宅ローン控除(減税)

住宅ローン控除とは、住宅ローンでの借り入れによって支払う「金利負担」を軽減するための制度です。

具体的には、毎年の年末時点の住宅ローン残高と住宅の取得費用のいずれかが少ない金額を対象に、最大で13年間にわたり、その金額の0.7%が所得税額から控除されます。

この制度を利用するためには、「確定申告」という手続きが必要です。

ただし、会社員の場合は、年末調整によって自動的に手続きが行われるため、個別に確定申告をする必要はありません。

ただし、住宅ローンを借り入れた初年度については、自分自身で確定申告を行う必要があります。

投資型減税(認定住宅新築等特別税額控除)

「認定優良住宅」と「認定低炭素住宅」は、国が特に優れた性能を持つ住宅と認めたものです。

これらの住宅を取得した場合、確定申告時には「認定住宅新築等特別税額控除」という特典を申請することができます。

この控除を申請すると、原則としてその年分の所得税額から最大で65万円が控除されます。

ただし、この控除制度を利用する際には、住宅ローンとの併用ができないという点に注意が必要です。

つまり、住宅ローンを組んで住宅を購入する場合、この特典を利用することはできません。

しかし、実は住宅ローン控除の方でも、認定住宅に対する優遇措置があります。

つまり、住宅ローン控除を選択した場合、最大で10年間で350万円(13年間で455万円)までの控除を受けることができます。

一般的には、住宅ローン控除を利用する方がよりお得と言えるでしょう。

この控除制度は、特に住宅ローンを利用せず、自己資金で住宅を購入する方に対しての軽減措置と言えます。

長期優良住宅を現金で取得する方や、住宅ローンの期間が10年未満の場合など、住宅ローン控除を利用できないケースでは、この制度を活用することをおすすめします。

贈与税の非課税措置

土地や住宅を贈与によって取得した場合には、「贈与税」が課されることがあります。

ただし、贈与税にはさまざまな非課税の措置が用意されています。

具体的には、祖父母や両親からの贈与であれば、贈与税が非課税となるケースがあります。

この非課税の措置には、主に2つの種類があります。

まず、住宅資金を親や祖父母から贈与してもらう場合には、「住宅資金等取得贈与の非課税措置」というものがあります。

この措置では、一定額までの住宅資金の贈与について、贈与税が非課税となります。

つまり、親や祖父母から一定額以下の金額を贈与された場合には、贈与税を支払う必要がありません。

また、相続税が発生した場合にも、相続財産の価額に贈与された財産の価額を加算して相続税額を計算する「相続時精算課税制度」という措置もあります。

これは、贈与した財産が相続によって引き継がれた場合に適用されます。

例えば、親から土地を贈与された後、その土地が相続された場合には、贈与された時の価値を相続財産の価額に加算し、その結果に基づいて相続税が計算されます。

さらに、年間110万円までの贈与については、「暦年課税制度」という非課税の措置も利用できます。

つまり、1年間に110万円以下の金額を贈与する場合には、贈与税を支払う必要がありません。

以上が贈与税に関する非課税の措置の概要です。

不動産取得税の減税

不動産取得税は、住宅の取得に関する税金です。

新築住宅や中古住宅の場合、税率3%の軽減税率が適用されることがあります。

さらに、建物部分と土地部分には、課税標準額から一定の金額を控除する軽減措置があります。

これは、住宅の取得を容易にするための優遇措置です。

新築住宅の場合、建物部分の不動産取得税は、建物の固定資産税評価額から1,200万円を控除して、その差額に税率3%をかけた金額となります。

土地部分の不動産取得税は、土地の固定資産税評価額の1/2を計算し、それに税率3%をかけます。

さらに、この金額から控除額を差し引いた金額が税金となります。

例えば、土地面積が100㎡で固定資産税評価額が1,000万円、建物延べ床面積が90㎡で固定資産税評価額が1,100万円の新築住宅の場合、上記の軽減措置が適用されるため、土地と建物の税金は計算上マイナスとなり、実質的には0円となります。

中古住宅の場合は、建築された年代に応じて控除額が定められていることがありますが、基本的な計算式は新築住宅と同じです。

軽減措置を利用するためには、各都道府県の県税事務所などで申請する必要があります。

また、申請期間は自治体によって異なる場合もあるため、事前に確認しておくことがおすすめです。

登録免許税の減税

家を購入する際には、登記手続きが必要となります。

登記には「所有権保存登記」と「所有権移転登記」の2種類があります。

所有権保存登記は、既に所有している不動産の情報を登録する手続きであり、所有権移転登記は新たに不動産を取得する際に所有権を登録する手続きです。

また、住宅ローンを利用する際には、「抵当権設定登記」という手続きも必要です。

抵当権設定登記は、住宅ローンを組む際に不動産を担保として設定する手続きです。

登記手続きには、登録免許税がかかります。

登録免許税は一度だけ支払われる税金であり、家の購入時に課税されます。

ただし、登録免許税には軽減措置もあります。

所有権移転登記の場合、以下の計算方法で登録免許税額を算出します。

例えば、土地が1,000万円、建物が900万円の中古住宅を購入した場合は、以下のようになります。

土地の登録免許税額は、土地の評価額に税率を掛けた金額です。

評価額が1,000万円で税率が1.5%の場合、登録免許税額は15万円になります。

建物の登録免許税額も同様に算出します。

建物の評価額が900万円で税率が0.3%の場合、登録免許税額は2万7,000円になります。

これらを合算した登録免許税の総額は、17万7,000円となります。

ただし、軽減措置を受けるためには、詳細な条件が設けられています。

固定資産税の減税

固定資産税の減税措置は、住宅の建物部分と土地部分に適用されます。

例えば、新築の一戸建てを購入した場合を考えてみましょう。

この一戸建ての購入価格は3,000万円で、土地の面積は180㎡であり、固定資産税の評価額は700万円です。

建物の床面積は100㎡で、固定資産税の評価額は1,000万円です。

この場合、土地と建物の両方に対して軽減措置が適用されます。

まず、土地の固定資産税額を計算してみましょう。

土地の評価額700万円に、標準税率の1.4%をかけ、さらに軽減率の1/6をかけます。

計算の結果、土地の固定資産税額は1万9,800円(切り捨て)となります。

次に、建物の固定資産税額を計算します。

建物の評価額1,000万円に、標準税率の1.4%をかけ、軽減率の1/2をかけます。

計算の結果、建物の固定資産税額は7万円となります。

したがって、土地部分と建物部分の固定資産税を合算すると、固定資産税額は8万9,800円となります(土地1万9,800円+建物7万円)。

固定資産税は、新築住宅に対して軽減措置が用意されていますが、この税金は毎年支払わなければならないものです。

軽減措置が終了した後に税額が大きく増える可能性があるため、注意が必要です。

また、固定資産税は地方税であるため、各自治体によって軽減措置の内容が異なります。

中には人口減少対策として独自の軽減措置を行っている自治体もありますので、必ず所属する自治体のホームページや窓口で確認しておくようにしましょう。

都市計画税の減税

都市計画税は、新築の建物部分には軽減措置がなく、ただし住宅用として利用される土地には軽減措置が設けられています。

具体的には、固定資産税の計算例と同じ状況で、都市計画税を算出してみましょう。

例えば、初年度の新築一戸建ての購入価格が3,000万円で、土地の面積が180㎡(固定資産税評価額は700万円)の場合を考えます。

このケースでは、土地の都市計画税は7,000円です。

これは、土地の評価額である700万円を1/3にし、それに税率2万1,000円を掛けて算出されます。

一方、建物の都市計画税は3万円です。

これは、建物の価格である1,000万円に標準税率0.3%を掛けて計算されます。

以上より、今回の事例では土地部分の都市計画税が7,000円、建物部分の都市計画税が3万円であり、合計で3万7,000円となります。

都市計画税の納税時期は、自治体によって異なりますが、基本的には6月、9月、12月、翌年の2月の4回に分けて納税することになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。住宅を購入の際は、住宅本体に加えて仲介手数料等の諸費用も掛かります。そして税金も必要となります。

しかし、税金に関しては、軽減措置もありますので、軽減措置が適用できる住宅を購入することをおススメします。