住宅ローンを滞納するとどうなる?競売までの流れと対策を詳しく解説

不動産

住宅ローンの月々の返済に悩んでいる方はいらっしゃいませんか?住宅ローンの返済期間は通常数十年にわたります。

その間には、教育費や医療費などの負担が増え、ローンの返済が困難になる世帯もあるかもしれません。

もしも住宅ローンの返済を滞納してしまった場合、どのような事態になってしまうのでしょうか?ここでは、滞納した場合に契約者が取るべき手続きについて丁寧に説明いたします。

住宅ローンを滞納するとどうなる?

住宅ローンを返済している最中に、病気や失業、離婚など予期しない出来事が起こることがあります。

現時点では返済ができているかもしれませんが、状況が変わると返済が困難になる可能性があります。

最悪の場合、自宅が競売にかけられて強制的に売却されることがあり、さらに自己破産することもあり得ます。

こうした事態を避けるためには、まずは返済が苦しい場合には家計を見直すことが重要です。

それでも困難な場合は、住宅ローンを借りている金融機関に相談して返済計画の見直しをするだけでなく、自宅の売却や家族からの援助など、自分自身の状況に応じた適切な対処方法を考える必要があります。

少しでも不安を感じたら、すぐに行動を起こしましょう。

滞納金や遅延損害金を早めに返済することができれば問題ありませんが、滞納を続けると、住宅ローンの分割払いの権利を失い、一括返済を求められることがあります。

通常、3〜6ヶ月の滞納があれば一括返済の要求がされ、この時点で信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)として登録されます。

そして、一括返済に応じることができない場合、金融機関は債権回収のために競売による不動産の強制的な売却手続きを開始します。

通常、最初の滞納から約10〜12カ月で競売となり、最終的に強制的に退去させられることになります。

また、住宅ローンを借りる際には優遇金利が適用されますが、住宅ローンの滞納により優遇金利が解除されるため、「1回だけなら…」と軽々しく滞納することは避けましょう。

住宅ローンを滞納から競売・強制退去までの流れ

ここでは、住宅ローンを滞納してから競売になるまでの流れを時系列でみていきましょう。

1カ月~2カ月:請求書が届く

住宅ローンの支払いを1~2カ月も遅れると、銀行が「お支払いができていない」という連絡をしてきたり、支払い請求書や督促状が送られてきたりすることがあります。

もし支払いが完全にできるのであれば、今後も住宅に住み続けることは問題ありません。

ただし、本来の支払い日から遅延した日数に応じて、遅延損害金が発生することになるので、そこには注意が必要です。

3カ月:催告書や期限の利益喪失予告書が届く

催告書では、支払期限までに適切に支払いが行われない場合、法的手続きに入ることが明記されています。

催告書の指示に従って支払いがなされない場合、次に期限の利益喪失予告書が送付されます。

期限の利益とは、例えば住宅ローンの分割返済をする権利のようなものであり、期限の利益を喪失することは、全額一括返済しなければならないことを意味します。

3カ月~6カ月:期限の利益喪失

もし滞納した金額を支払わない場合、期限の利益喪失予告書に記載されている通り、期限の利益を得る権利を失ってしまいます。

期限の利益を失うと、金融機関から住宅ローンの全額を一括で返済するように求められます。

もうすでに滞納している状況であるため、一括返済に応じることができる人はほとんどいないでしょう。

もし債務者が一括返済ができない場合、保証会社が代わりに債務を返済し、その債権は保証会社に移ります。

期限の利益を失った後、一括返済もできないという場合、金融機関は競売手続きを開始します。

ただし、競売はすぐには始まりません。

半年以上の期間がかかります。

不動産が競売にかけられると、強制的に売却され、その売却代金が債務の返済に充てられます。

なお、一般的には、通常の売却相場よりも約6割ほど安く取引される傾向があります。

6カ月~10カ月競売開始の決定と差し押さえ

競売手続きが始まる決定通知が法廷から送られてきます。

この時点で、所有する不動産が差し押さえられ、他人の所有物となります。

しかし、直ちに引き渡しをしなくても構いません。

実際に競売で落札されるまではその不動産に住み続けることもできます。

10カ月~12カ月:競売の入札が始まる

住宅ローンの支払いを滞納してしまった場合、裁判所から期間入札の通知が届きます。

この通知書には、競売の入札がいつ始まり、いつ終了するか、そして落札者が決定されるまでの手続きが詳しく記載されています。

落札者が決まり、契約が交わされると、強制的に退去させられることになります。

競売は通常の不動産売却価格の約60%程度で取引されるため、非常に安くなります。

また、競売で売却された金額は、住宅ローンの返済に充てられるため、注意が必要です。

したがって、このような状況にならないよう、ローンの返済には細心の注意を払う必要があります。

もしも滞納してしまった場合は、即座に適切な対策を講じることが重要です。

任意売却の相談をする

競売時には、物件の売却価格が低くなる可能性があります。

このため、競売が周囲の人々に知られることなど、デメリットが存在します。

競売を避けるためには、任意売却を検討することが重要です。

任意売却とは、債権者との合意のもと、自主的に不動産を売却することです。

通常、不動産会社を介して任意売却を進めることが一般的です。

任意売却をする際には、信頼できる不動産会社に頼むことが肝心です。

任意売却の専門知識や経験を持つ会社を選ぶことで、スムーズかつ効果的に物件を売却することができます。

任意売却専門業者と一般の不動産業者の違い

競売になると、通常の売却価格よりも低い価格で不動産を売ることになります。

競売は一般公開されるため、周囲の人や関係者に差し押さえられて売却されたことが知られてしまう可能性があります。

ですから、できるだけ任意売却を選択することが賢明です。

任意売却は通常の不動産売買と同じ方法で行われるため、市場価格に近い金額で売却でき、周囲に任意売却の事実を知られる心配もありません。

不動産を任意売却する場合は、まずは不動産業者に相談することがおすすめです。

不動産業者には、任意売却専門の業者と一般の不動産業者が存在します。

任意売却専門業者に依頼する方が効果的です。

なぜなら、任意売却専門業者は債務者である金融機関と交渉したり、弁護士とともに任意売却の進行を補助することができるからです。

一般的な不動産売却の場合、不動産業者に相談し、購入者を募集して売却することが一般的です。

しかし、任意売却の場合は債務者との協議がなければ売却することはできません。

まとめ

住宅ローンは、数十年にわたって支払いを続ける長期的な負担です。

人生には予期せぬ出来事や困難が起こるかもしれません。

その結果、住宅ローンの返済が困難になり、支払うことができなくなる可能性があります。

そうなると、自分が大切に手に入れた家を手放さなければならない状況に直面するかもしれません。

このような状況になった場合、一人で悩まずにまずは専門家に相談することが重要です。

競売と任意売却はその結果において大きな差があります。

返済ができなくなった後の対処方法が非常に重要です。

相談を遅れさせるほど、任意売却できる確率は低くなってしまいます。

住宅ローンの返済に悩んでいる方は、なるべく早く専門家に相談することで、任意売却の可能性を高めることができます。

自分たちの家を手放さずに済むよう、一日でも早く専門家と相談しましょう。