中古マンションの住宅ローンの手続きや必要な書類について解説

不動産

住宅ローンの審査は、他の一般的なローンと比較して、いくつかの厳しい要件があります。

これは、借りる金額が通常大きく、返済期間が長いためです。

もし審査の結果に不安がある場合は、審査の基本的なプロセスや留意すべき点を理解しておくことが重要です。

今回は、中古マンションの住宅ローン審査に関する主な要件や提出書類、留意すべき点についてご説明します。

住宅ローンの審査項目

中古住宅と新築住宅の住宅ローン審査には特に違いがありません。

以下では、住宅ローンの審査項目について、事前審査と本審査のそれぞれに注目して説明します。

まず、事前審査です。

事前審査は、住宅ローンを申請する前に行われる審査です。

この審査では、申請者の収入や資産、債務などの情報が調査されます。

具体的には、収入の確認、雇用状況のチェック、頭金の有無、住宅ローンの支払い能力などが審査されます。

また、申請者の信用情報や過去の借入履歴も確認される場合があります。

これらの情報をもとに、申請者の住宅ローンへの適格性が判断されます。

次に、本審査です。

本審査は、住宅ローン申請が承認された後に行われる審査です。

この審査では、具体的な物件情報や購入契約書などが提出されます。

また、物件の評価や評価価格、抵当権設定の確認、鑑定評価なども行われます。

さらに、住宅ローン契約に関する手続きや必要な書類の提出も行われます。

これらの審査を通過することで、最終的に住宅ローンの利用が承認されます。

いずれの審査も重要な過程であり、正確かつ完全な情報の提供が求められます。

また、審査の結果は申請者の借入条件や物件の適格性に基づいて判断されます。

住宅ローンを申請する際には、審査の流れと審査項目をしっかりと把握し、必要な情報や書類を準備することが重要です。

また、専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。

住宅ローンの審査は、財務面や物件面で確実性を担保するための手続きであり、適切な判断と準備が重要です。

事前審査の審査項目

事前審査とは、インターネットなどを通じて申請者の情報を基に、自動的に行われる審査のことです。

特定の基準に基づいて行われるため、審査にはそれほど時間がかからず、1日から1週間程度で結果が出ます。

審査項目は、金融機関によって異なりますが、主に以下の項目がチェックされます。

1.借入時の年齢と完済時の年齢

2.年収

3.勤続年数

4.返済負担率

5.健康状態

6.連帯保証人

7.物件の担保評価

「返済負担率」とは、「収入に対する返済負担額の割合」を指します。

通常、年収を基準に考えられます。

例えば、年収500万円の場合、毎月10万円の返済を行った場合、返済負担率は「10万円 × 12ヶ月 ÷ 500万円 = 24%」となります。

多くの金融機関では、返済負担率の上限を35~40%程度と設定しているため、返済額が年収に対して大きすぎる場合、審査で落とされることがあります。

また、金融機関によっては、「国籍」や「雇用形態」などもチェックされることがあります。

一方で、「家族構成」や「所有資産」、「雇用先の事業規模」などは、あまり重視されないことが多いです。

本審査の審査項目

本審査は、主に事前審査で取り扱った内容をより詳しく調査し、事実を確認することを目的としています。

本審査は通常、1~2週間ほどの期間をかけて行われます。

基本的には事前審査と同じ内容を扱いますが、本審査では特に健康状態や物件の価値評価、連帯保証人についても細かく審査が行われることが多いです。

住宅ローン審査を受けるために必要な書類

住宅ローン審査で必要な書類には何があるのか順番に見ていきましょう。

事前審査の必要書類

金融機関によっては、異なる必要書類が求められることがありますが、一般的に事前審査では以下のような書類を提出する必要があります。

主な必要書類は以下の通りです。

まずは本人確認書類です。

運転免許証、パスポート、健康保険証、マイナンバー関連書類などが該当します。

これによって、自分自身を正確に確認することができます。

次に収入確認書類です。

こちらは会社員と個人事業主では異なる要件があります。

会社員の場合は、基本的に前年度の源泉徴収票を提出すれば、収入状況を証明することができます。

一方、個人事業主の場合は、「過去3期分の確定申告書や納税証明書」を提出するよう求められるのが一般的です。

また、物件確認書類も必要です。

具体的には、物件の間取り図が求められることがあります。

これによって、物件の配置やレイアウトを確認することができます。

最後に、事前審査申込書も提出する必要があります。

これには個人情報や収入情報などを詳しく記入する必要があります。

以上が一般的な必要書類の一部ですが、金融機関によってはさらに詳細な情報や書類が必要とされる場合もあります。

必要な書類については、事前に確認しておくことが大切です。

本審査の必要書類

この審査では、あらかじめ提出する書類に加えて、以下の書類が必要です。

まず、買い手と売り手の合意を示す物件の売買契約書の写しです。

この契約書は、物件の取引の内容や条件が明確に記載されています。

また、物件の重要な情報や注意事項が記載されている重要事項説明書の写しも必要です。

この書類は、購入する物件についての詳細な情報を提供し、売買に関するトラブルを回避するために重要です。

住民票も提出する必要があります。

住民票は、申請者が実際に居住していることを証明する公的な書類です。

申請者の氏名、住所、続柄などが記載されています。

さらに、申請者の身元を確認するために、印鑑証明書も提出する必要があります。

この書類は、申請者が印鑑を持っていることや、その印鑑が正規のものであることを証明するものです。

ただし、金融機関によって必要な書類は異なる場合がありますので、申込先からの案内に従って、漏れのないように必要な書類を準備することが非常に重要です。

審査で落ちてしまいやすいポイント

住宅ローンの審査を円滑に通過するためには、審査に落ちる原因も把握しておくことが重要です。

以下では、審査で落ちやすい6つのケースについて詳しく見ていきましょう。

年収に対して借入額が多い

収入に対して借り入れるお金が多い場合、返済する負担が大きくなります。

そのため、審査を通過するのは難しくなります。

特に、借り入れたお金を返済する期間を短くすると、同じ金額でも毎月の返済額は大きくなります。

このため、注意が必要です。

その他借入がある

住宅ローンの返済だけではなく、他のローンも考慮する必要があります。

たとえば、年収が500万円の人が毎月10万円の住宅ローンを返済している場合、返済負担率は「10万円×12ヶ月÷500万円=24%」となりますので、審査上は特に問題はありません。

しかし、ここに毎月3万円の自動車ローンと毎月3万円の教育ローンの返済が加わると、返済負担率は「(10万円+3万円+3万円)×12ヶ月÷500万円=38.4%」となります。

この場合、金融機関によっては審査基準の上限を超えてしまい、審査に通らない可能性が高くなります。

物件の築年数が経過している

住宅ローンの審査では、物件の価値が担保として重要な要素となります。

物件の築年数が非常に古い場合、物件の価値が低下し、希望の融資金額での審査通過が困難になる可能性があります。

そのため、物件の築年数や状態は、審査結果に影響を与える重要なポイントです。

転職直後などで年収が不安定になっている

「転職をしたばかりのタイミングでは、勤続年数が短くなってしまうため、収入の安定性が低いとみなされるケースがあります」というのは、転職をするとまだ会社に勤めていない期間が短くなってしまうため、収入の安定性が低いと考えられる場合があるということです。

ただし、「同業種かつ年収アップのための転職」や「関連会社への転職」、「士業への転職」、「信頼性が高い企業への転職」といった具体的なケースでは、転職による不利益は生じにくいです。

例えば、同じ業界で年収のアップが見込める転職の場合、経験やスキルを活かしながら収入を増やせるため、転職によるデメリットは少ないです。

また、関連会社への転職の場合は、業界知識やネットワークを活かしてスムーズに新しい職場に馴染むことができるでしょう。

さらに、士業への転職のケースでは、専門的な知識や資格を活かしてより高い収入を得ることができます。

士業は信頼性が求められるため、転職先の企業や事務所も信頼性が高く、長期的な雇用の安定性も高いでしょう。

また、信頼性が高い企業への転職の場合は、安定した収入と経験の裏付けがあるため、転職後の評価やキャリアの発展に不利益を生じにくいです。

以上のように、転職にはデメリットもありますが、特定のケースでは不利益を最小限に抑えることができます。

信用情報が悪い状態になっている

もし過去にブラックリストに登録されたり、借金の返済が遅れていたりすると、審査に通る可能性は非常に低いです。

同様に、納税義務を怠っている場合も、信用情報に悪い影響を与えてしまい、審査を受ける際に不利な状況になります。

事前審査と本審査の間で状況が変化している

事前審査に合格した場合でも、その後に状況が変化したり、新たな借り入れが行われたりすると、本審査で不合格になる可能性があります。

ですので、事前審査が終わった後は、「新たな借り入れを行わないようにする」「転職のタイミングを見送る」といったことに注意してください。

これらの行動は、本審査の結果に影響を与える可能性があるため、慎重に選択してください。

審査に落ちないためのポイント

上記の事を勘案して、審査に落ちないためのポイントを見ていきましょう。

頭金をできるだけ多めに準備する

頭金を用意することは、借入金額を減らすために非常に効果的です。

住宅ローンを申請する際の審査基準を下げる効果もあります。

さらに、一部の住宅ローン商品では、「フラット35」と呼ばれるものがあり、一定割合以上の頭金を用意すると金利が下がる特典もあります。

そのため、まずは貯蓄に力を入れて、十分な頭金を準備することが非常に重要な対策となります。

これにより、借入額を減らし、ローン審査のハードルを下げることができます。

さらに、金利を下げることも可能ですので、将来的な負担も軽減できるでしょう。

ただし、頭金を準備するためには時間と努力が必要です。

まず、支出を見直し、節約することが必要です。

さらに、貯蓄に特化した口座や投資商品を活用することも検討しましょう。

定期的な積み立てや利益を生み出す投資によって、頭金を着実に増やしていくことができます。

また、頭金を用意する際には、家の購入計画を立てる必要もあります。

具体的には、目標とする頭金の金額や期限を設定し、それに向けて貯蓄計画を立てることが重要です。

また、頭金の金額を決める際には、将来的な家の価値や資産価値の変動も考慮しておくことが必要です。

頭金を用意することは、住宅ローンを申請する際のポイントです。

頭金を十分に準備することで、借入金額を減らし、ローン審査をクリアする可能性を高めることができます。

さらに、金利を下げ、将来的な負担を軽減することもできます。

貯蓄に力を入れ、計画的に頭金を準備しましょう。

年収に見合った金額の借り入れを行う

返済負担率とは、返済計画の安全性を評価するための指標です。

ほとんどの金融機関は審査の際にこの指標を考慮します。

一般的に、返済負担率は35~40%程度を上限としていますが、実際には無理のない範囲である「25%以内」が目安とされています。

安定した返済を続けるためには、借入額と返済期間を設定する際に、返済負担率が25%以内になるようにすることが重要です。

このようにすることで、負担が軽減され、返済が円滑に行えます。

その他借入を完済する

もし他の借り入れがある場合、返済負担率が増えすぎないように注意する必要があります。

ですから、できるだけローンの申し込み前に他の借り入れを完済しておくことが重要です。

さらに、先程述べた通り、審査中には新たな借り入れをしないように細心の注意を払う必要があります。

まとめ

住宅ローン審査においては、各金融機関によって具体的な審査項目が異なることがありますが、一般的には以下のような項目が主にチェックされます。

まず、借入時の年齢と完済時の年齢が考慮されます。

さらに、年収や勤続年数も審査の重要なポイントとなります。

また、返済負担率、つまりローン返済額が所得の何割を占めるかも見られます。

健康状態や連帯保証人の有無、そして物件の担保評価も審査の対象です。

住宅ローン審査に落ちてしまう主な原因としては、返済負担率が基準を超えていること、信用情報に問題があること、物件の担保評価が低いことなどが挙げられます。

これらの要素が不適切な場合、金融機関は貸し出しを躊躇する可能性が高くなります。

住宅ローン審査に落ちないためには、まずは十分な頭金を用意することが重要です。

頭金はローンの負担を軽減させるために不可欠です。

また、返済負担率を25%以内に抑えることもポイントです。

返済負担率が高すぎると、金融機関は返済能力に不安を抱く可能性があります。

これらの基本的なポイントを意識するだけでなく、必要な場合には備え付けられた対策を行い、スムーズな審査を進めるための準備を整えることも大切です。

たとえば、返済期間を長くすることや、連帯保証人を立てることなどが考慮される場合もあります。