一戸建てマンション 新築 中古 どっちかを迷った場合の方法

不動産

物件選びを始める際には、新築と中古のどちらを選ぶべきか迷うこともあるでしょう。

中古住宅はリフォームの自由度が高いメリットがありますが、耐震性などの点で懸念を持つ声も多く、ネットの記事を読んでも結論がなかなか出せないこともあります。

しかし、新築住宅の価格の付き方や資産価値、政府の政策も考慮すると、新築か中古かという問いには既に答えが存在します。

つまり、「除外すべき問題のある中古住宅を除き、ほとんどの場合、中古住宅を選ぶべき」なのです。

もちろん、すべての中古住宅が適しているわけではありませんし、新築住宅にはメリットもあります。

しかし、物件価格や資産価値、住宅の寿命や設備の比較を冷静に行うと、中古住宅を選ばない理由はほとんどありません。

このコラムでは、中古住宅を選ぶべき10の理由と、購入すべきでない中古住宅について、さまざまな観点から比較し、解説していきます。

新築と中古のどちらを選ぼうか迷っている方にとって、今回の内容は必見です。

実際に売れているのは新築と中古どっち?

物件選びを始める前に、まずは新築と中古のどちらが実際に売れているのかについてお伝えします。

アメリカでは中古住宅に住む割合が8割以上だと言われていますが、日本では新築住宅の人気が根強く、「新築神話」とも言われてきました。

しかし、現在の日本では2023年時点で新築住宅よりも中古住宅の方が売れているデータがあります。

中古住宅の人気が高い理由

日本において、新築住宅の数は地域や立地条件によって異なりますが、実際の成約数を比較した場合、中古住宅の方が既に新築住宅を上回っています。

では、なぜ中古住宅が選ばれるのでしょうか。

以下では、新築よりも中古住宅が選ばれる理由を詳しく説明します。

まず、国土交通省の「住宅市場動向調査2020」によると、中古戸建てや中古マンションを選ぶ理由として最も多かったのは「価格が適切だったから」です。

新築住宅と比べて価格が手ごろであるというメリットが大きな影響を与えているようです。

また、近年中古住宅の人気が高まっているのは、購入後にリフォームやリノベーションを行う人々が増えてきたからとも言えます。

中古住宅の価格が安いだけでなく、政府がリフォームやリノベーションに対して補助金制度を整備したり、不動産売買時にインスペクションを義務付けていることなどが背景にあると考えられます。

インスペクションとは、住宅専門家が住宅の状態を調査し、劣化や問題があれば報告する住宅診断のことです。

新築と中古住宅の比較

1章では新築住宅のメリットについて説明しましたが、2章ではなぜ中古住宅が新築住宅を凌駕することができるのかを紹介します。

もし新築と中古のどちらを選ぶか迷っている場合は、自身の希望条件と照らし合わせて比較検討してみてください。

新築プレミアムがない

まず最初に紹介するのは、新築住宅と中古住宅の価格の違いです。

結論から言えば、新築住宅には「プレミアム」が付いており、実際の物件価格以上の価格が設定されています。

そのため、購入直後に売却する場合、売却価格は購入時の約80%程度になることが一般的です。

新築住宅と中古住宅のリフォーム費用の比較

新築住宅を選ぶ場合、住んだことのない空間であるため、「誰も住んでいない」ということが当然と考える人もいるかもしれません。

しかし、実際には新築住宅には「新築プレミアム」と呼ばれる追加費用が含まれています。

新築住宅は、販売業者の利益や広告費など、中古住宅ではかからない費用が2割程度上乗せされていることが一般的です。

そのため、新築住宅を中古住宅に売却する際には、市場価値が2割程度下がることになります。

また、住宅についての考え方は人それぞれですので、新築住宅に憧れを抱くのは悪くないと思います。

ただし、新築住宅は資産価値の観点から見ると一定のリスクがあります。

ですので、新築住宅を検討する際は、この点を覚えておいてください。

また、中古住宅を購入しリフォームする場合、「中古住宅だとリフォーム費用が高くつくのではないか」と心配する人もいるでしょう。

ここでは、リフォーム費用の相場について詳しく説明します。

中古住宅+リフォームと新築住宅のどちらが良いか迷っている方は、リフォーム費用の相場を参考にして比較してみてください。

2020年に実施された大規模なリフォームを対象にした調査によると、現在の住居をリフォームする場合の平均費用は539.9万円、中古住宅を購入した場合のリフォーム費用の平均は612.9万円でした。

平均費用の高さに驚かれるかもしれませんが、500万円以上の費用は、間取りの変更などを伴う全面的なリフォームを行う場合や、解体費用が高額になる場合などがあります。

ただし、中古住宅の設備の状態によっては、トイレなどの水回りのリフォームだけで十分な場合もありますし、間取りの変更をしない場合には200万円程度の費用で済むこともあります。

中古住宅+リフォームの方がコスト的にお得と言えるでしょう

新築住宅の相場は、建売住宅で3,494万円、注文住宅で4,297万円となっています。

もしも検討中の新築住宅が4,000万円だったとすると、その価格にはだいたい800万円程度の販売利益が含まれています。

そのため、リフォームの方が費用が安くなる可能性が高いです。

築年数が浅いけれども、前に誰かが住んでいたということに抵抗感があって新築を選ぼうとしている場合は、中古住宅を購入してリフォームする方がコスト的にお得だと言えるでしょう。

中古は新築よりも資産価値の下がり幅が小さい

不動産の資産価値は、マンションでも戸建てでも年々低下していきますが、その下落の仕方には特徴があります。

例えば、新築を購入してから15年後に売却する場合、その時点では資産価値は1,678万円下がっているというデータがあります。

しかし、築20年の中古マンションを購入していれば、同じ期間での下落は1,011万円に抑えることができます。

同様に、中古戸建てでも同じように資産価値は下がりますが、築20年程度で建物の価値はほとんどなくなり、土地の価値だけが残ることがほとんどです。

もちろん資産価値が下がっているからと言って完全に住めないというわけではありませんので、リフォームして住む方も多くいます。

重要なのは、資産価値が下げ止まるタイミングで中古住宅を購入することです。

生活面や設備面だけでなく、資産価値や購入費用を重視している方は、ぜひ築20年以降の中古住宅も検討してみましょう。

新築マンションは入居時に一括で修繕積立基金を支払う

マンションには、一戸建てにはない費用として、管理費や大規模修繕に備えるための修繕積立基金があります。

特に新築マンションの場合、入居する際に一括でこの修繕積立基金を支払う必要があります。

この費用は、将来の大規模修繕や設備の更新に備えるために必要ですが、一括で支払うことになるため初期費用としての負担が大きいです。

一方、中古マンションを購入する場合、既に住人が積み立てている修繕積立基金に加入することで、初期費用を抑えることができます。

したがって、入居時の負担を軽減したい方にとっては、中古マンションは魅力的な選択肢となるでしょう。

実際の物件を見て選べる

中古住宅を選ぶ際には、実際に購入予定の物件を直接見て選ぶことができるという特徴があります。

新築住宅では、住宅展示場やモデルルーム見学などで物件の見学をすることが一般的ですが、実際に住み始めてみると「思ったより狭かった」「日当たりが悪い」、「隣の部屋からたばこのにおいが漂ってくる」といった失敗の例も少なくありません。

新築マンションのモデルルームは、実際の大きさではなく、広く見せるために家具が低く配置されている場合や、収納家具が少ない場合が一般的です。

そのため、実際に自分の家具を配置してみると狭く感じることが多いのです。

しかし、中古住宅を選ぶことで、物件そのものを実際に見学し、自分の目で確かめることができます。

中古住宅は、日当たりや眺望、風通し、においから騒音まで、現地に行って物件を実際に確認することができます。

実際に見てみることで、建物の汚れや外壁の劣化状況、エントランスの清潔さなどの管理状況を確認することもできます。

住んでいる人や住む予定の部屋を見ることで、中古住宅の管理が適切に行われているかどうかを確認することができます。

このように、中古住宅は実際に現地を訪れることで細かな点を確認できるため、大きなメリットといえます。

立地の選択肢が増える

中古住宅には、新築住宅にはない大きなメリットがあります。

特に中古マンションは、建設年が1980年以前のものが1,160万戸存在しており、これに比べて1981年以降の新築住宅は3,612万戸です。

つまり、中古住宅の方が需要が高く、より良い立地に存在している確率が高いのです。

立地の良さは利便性にも直結しますし、資産価値にも影響します。

例えば、駅からの距離や有名な小学校の学区内であることなどが立地の良さの代表的な要素です。

中古住宅では、資産価値が高く保たれるものを複数の選択肢から選ぶことも可能です。

将来的に売却を考えている方や、転勤の可能性がある方にとっても、駅からの距離が近く立地の良い中古住宅を検討することは良い選択肢となるでしょう。

新築住宅の耐震性に注意が必要

特にマンションを考える場合、新築マンションを購入する際には、耐震性が安心できると思われるかもしれません。

しかし、結論としては「新築だからと言って安心できるわけではない」と言えます。

中古マンションの方が耐震性で安心できる理由

近隣住民を把握したうえで住める 新築マンションには、隣に誰が住むのかを把握できないまま購入しなければならないというデメリットがあります。

しかし、中古マンションでは既に隣に住んでいる人や上の階に誰が住んでいるのかを確認してから購入することができます。

そのため、「住んだ後に騒音トラブルに気が付いた」というリスクを軽減することができます。

中古住宅では、一階エントランスなどに騒音トラブルに関する掲示がされていることも多く、事前に把握することができます。

また、売主に売却理由を聞くことも可能です。

これにより、隣人同士のトラブルなどを事前に予測し、避けることができます。

中古マンションが隣近所の情報を把握できる機会を提供してくれるため、新築マンションと比べて住民同士のコミュニケーションやトラブル回避がしやすいといえます。

そして、騒音や隣人トラブルといった問題を軽減することで、快適で安心な生活を送ることができるでしょう。

中古住宅の寿命は延び続けている

中古住宅を購入しようと考える人の中には、「中古の家はいつまで住めるか分からないから、新築の方がいいのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかしその考え方は誤解です。

実際には、中古住宅の寿命は延び続けています。

国土交通省の調査によると、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は120年であるとされています。

さらに、外壁塗装などの定期的なメンテナンスを行った場合には、耐用年数は150年にまで延びることもあるのです。

日本ではあまり築100年という建物を見かけることは少ないかもしれませんが、海外では築100年以上の建物は珍しくありません。

例えば、ニューヨークの「エンパイア・ステート・ビル」は、建設から90年以上が経過している建物です。

また、国土交通省は中古住宅のストック数の増加に対応するため、「マンションストック長寿命化等モデル事業」というプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトでは、マンションの長寿命化を促すため、大規模修繕費用の補助を行っています。

建てては壊すという考え方から、リフォームやリノベーションといったメンテナンスに重点を置いて、長く使える家を作るという価値観が広まっています。

このような考え方の変化によって、今後も中古住宅の寿命は延び続けることが考えられます。

ですので、中古住宅を購入する際には、築年数だけではなく、メンテナンスの状況などをよく確認することが重要です。

中古住宅購入の際に注意すべきポイント

建て替えの必要性は極めて低いです 中古マンションを検討している方の中には、「中古マンションを買ってすぐ建て替えになったら大変だから中古は怖い」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際には建て替えが必要なケースは非常に稀であると言えます。

なぜなら、建て替えにはマンション所有者のうち5分の4以上の同意が必要となるため、全員の合意を得ることは難しいです。

また、建て替え費用として1000万円から2000万円程度が必要になります。

ですから、建て替えが必要なほど長寿命なマンションであれば、住民も高齢化しており、建て替え費用1,000万円を支払う余裕があるとは考えにくいでしょう。

実際に、国土交通省の統計によると、2020年7月時点での全国の建て替え総数は254件(1.9万戸)に過ぎず、築40年を超えた分譲マンションの戸数は91.2万戸であることを考えると、建て替えが実際に起こる割合は全体のわずか2%程度に過ぎません。

したがって、中古マンションの寿命が長いことや建て替えの必要性の低さから、安い価格で購入できる代わりに、メンテナンス費用をかけながら長く使っていくことが一般的です。

まとめ

避けるべき中古住宅の特徴 中古住宅を購入する際には、「買ってはいけない中古住宅」や「注意すべきマンションの特徴」など、後悔しないために気をつけるべきポイントについて知りたい方も多いでしょう。

以下では、中古住宅の選び方について紹介しますので、参考にしてください。

中古マンションの中で、旧耐震基準や旧旧耐震基準のものは避けるべきです。

一般的にマンションは、建築基準法や建築基準法施工令などで定められた公的な耐震基準に基づいて建設されています。

現在のマンションには、大まかに分けて三つの耐震基準が存在します。